深き自然の一部になる|北海道東川町のワークショップと「すべてが美しい」場づくり
2026年5月16日、北海道東川町の「BLUE SCHOOL 東川」さんのお招きにて、ワークショップを開催させていただきました。
ワークショップの様子はこちらの記事をご参照ください。
ワークショップ期間中は、「北の住まい設計社」さんのご厚意により、豊かな森の中に建つ一軒家に滞在させていただきました。
東川町の森は深くて、濃厚な自然環境に恵まれています。近隣の川には大型のニジマスが生息しており、夜は漆黒の静寂に包まれます。朝には、昆虫や鳥たちが活発に活動を開始します。konstの活動拠点である軽井沢も同じような自然環境ですが、東川町の森はより濃密であり、自然環境が人の身体に及ぼす影響をスンスンと感じました。
やっぱり人も自然の一部なんだ。だから、森の環境と身体がいきいきと呼応しているんだ。と再認識することができます。あーこれこそが北の住まい設計社さんが実践されている幸せな暮らしなんだな、と数日間の贅沢な滞在で気づいたことが、今回の旅の大きな収穫でした。
神々の湯
東川町から車で旭岳へ山道をおよそ30分のぼると、日本秘湯の会にも加盟する旭岳温泉「湯元 湧駒荘」があります。その浴場のひとつ「神々の湯」に入り、脱衣所の壁に貼られた説明文を読んでみると、5種類もの豊かな湯元があること、温泉の成分や効果、旭岳に自生する豊かな針葉樹の森が及ぼす効果などが書かれていました。
運よく独り占めした湯船に浸かりながら、「場と環境」の可能性についてぼんやりと思いを馳せました。
前夜、ワークショップ後の東川町にある、何を食べても最高に美味しい居酒屋「りしり」さんにて開催された懇親会において、BLUE SCHOOL 東川を主催されているみなさん。ワークショップを開催された木工家の荒木 孝文さん、隈研吾建築都市設計事務所のみなさんと、ワークショップの振り返りをさせていただきました。
子どもも大人も、障がいがあってもなくても、さまざまな参加者が誰もが同じように楽しみながら創作できるkonstのワークショップの仕組みについて、話し合う貴重な機会を作ってくださいました。その内容はお話が進むにつれて、僕が自覚さえしていなかったkonstのワークショップの魅力や不思議まで、広がっていきました。
僕自身といえば、仕組みについてその場ではうまく説明ができなかったけれど……もしこの場で補足させていただくのであれば、実は、僕らはかっちりした仕組みは作っていないのかもしれません。だけれど、「すべてが美しい」と感じられる場をなんとか作りたいと思っている、と湯船に浸かりながらぼんやり考えました。
東川町の森で暮らすことで自然に対して身体が呼応したことと同じように、ワークショップという場を「すべてが美しい」が成り立つ環境に整えることで、その環境に呼応して、参加者の誰もが自身の美しさを楽しく表現できるようになれば嬉しく思います。
かっちり整えず、後からぼんやり考える
BLUE SCHOOL 東川さんのワークショップ振り返りの際に、仕組みとブランディングの話題になった時、僕が唯一言えたのが、「最初からかっちり整えず、後から意味を考える」でした。その通りなんですが、これじゃあ説明不足で言葉が足りなかったな、と数日経ってから反省。
ほとんどのワークショップのアイデアは、ワークショップ開催中の観察から生まれています。クリエイターの皆さんが何に目を輝かせていたか。創作に夢中になった材料は何だったのか。絵の具の濃度や道具の使い方などなど。
一つ具体例を挙げるとするならば、それまでワークショップに参加できなかった方がシールを使ったら参加してくれたなら、シールを使ったもっと面白いワークショップを考えます。長い間、笑顔を見せなかった方が笑った瞬間に立ち会えたら、もっと笑顔になれるような方法を考えます。
このような小さな発見を僕たちは集めています。ワークショップが終わってからゆっくりと、そのような小さな発見を吟味して、その人なりの美しさをより楽しく表現できる方法を考えたり、過去の偉大なアーティストやデザイナーの思考と重ねることで、新たな発見をするのが、僕たち自身の喜びであり、konstのワークショップの作り方です。