「できること」ではなく、「反応すること」から始める、福祉施設でのワークショップ
たとえば、ペンキ缶から垂らされた塗料が紙に落ちて、偶然に生まれた形をみたクリエイターが「これは綺麗だよ!すごいなー!」と、誰に話しかけるわけでもなく、ただ感動が口からこぼれ出してしまう場面に遭遇することがあります。そういう瞬間に立ち会えるのは、とても幸せなことです。
目の前で起こっている紙の上での、色や形が織りなす世界の誕生に感激して、さらにもう一滴、垂らされた色と形が紙に新たな変化をもたらし、新しい世界を生み出す。そのことにまた同じように感動できる力を持っている人がいます。
「変化に反応して、感動の連鎖によって創作ができること」。これはその人の得意であり、才能なのだと感じています。
どうしたら、もっと感動の連鎖が生まれるのだろうか。他の方にも同じような得意に気づいてもらうにはどうしたらよいのだろうか。そんなことをぼんやり考えています。このような素敵な発見が、ワークショップの種となって、新しいワークショップが生まれていきます。
「思いつき」を「思いつきのまま」にする
ワークショップは、定期的にひと月に2回ひらかれています。その他にも、企画やイベントなどでワークショップを行うのですが、特に定期的なワークショップの内容は、できる限り毎回異なるものにするように心がけています。
その方法とは、ワークショップに参加される方々の、新しい得意を見つけられそうな場面や楽しんでいる姿を見ていると、次に試してみたいアイデアがぼんやりと浮かんでくることから始まります。その浮かんできたアイデアをぼんやりとした輪郭のまま、しばらく放っておくと、大切な本の一節や、尊敬するアーティストの言葉、美しい詩の一文などと、気ままに結びつくことがあります。そうすると、この感覚を実現するには、たぶんこの画材や画法だな、というのがふんわりと感じられてきます。
その時に大切なのは、「思いつき」を「思いつきのまま」、ワークショップとしてふんわりとしたままに実践してしまうことではないかと思います。わからないまま、目指すゴールが見えないまま、作り始めてしまうこと。きっと、それが「すべてが美しい」ワークショップを作るコツの一つなのかもしれません。