美しさを捕まえる準備を!

須長 檀

以前に投稿した記事「魔法について」で、エットレ・ソットサスの言葉を引用しながら、魔法について書きました。その記事では、論理では説明しきれない美しさが立ち上がる瞬間を「魔法」と呼んでいます。そこには、こう書いています。

僕たちは、説明のつかない、合理的ではない、障がいのある方が生み出すような美しさを、より多くの人々が信じることができる社会の実現を目指しています。不確定なこと、非合理的なこと、理解できないことに期待して信じる姿勢が、魔法のプロセスを見ることができる資格だからです。

ここで言う「説明のつかなさ」は、作り手の側にあるものではありません。受け取る僕たちの物差しが追いつかない、という意味です。では、その美しさを信じるとはどういうことなのか。もう少し詳しく書いてみます。

たとえば、熊のぬいぐるみをデッサンしていたのに、画用紙の上には鼻の長い象が現れている。3枚の紙でできた切り絵に「天使」を見る。「火星に住んでいる宇宙」を、さらっと描いてしまう。

福祉施設でワークショップをしていると、創作の途中でこうした飛躍が生まれる瞬間に、ときどき出会います。僕らが事前に想定していた枠を、軽々と超えていく表現です。

参加してくれる利用者のみなさんの飛躍は、流れ星のように突然現れて、パッと流れ去っていきます。僕らはあっという間に取り残されてしまいます。だから、ワークショップを支えてくださる方々には、こうお伝えしています。
「すべての美しさを信じて、降ってくる美しさがこぼれ落ちないように、すくい取るバケツを持っていましょう。そうしないと、魔法を見逃しちゃいますよ」

魔法を起こすのは作り手です。僕らの役目は、それを見逃さないこと。このバケツは、いつ現れるかわからない魔法の創作を待つための、心構えのようなものです。待つことこそが、魔法に立ち会える方法なのだと思います。

福祉施設でワークショップを始めたばかりのころは、僕たちが説明したやり方からはみ出して描こうとする方を、説明どおりに描くよう親切に導いてくださる方もいらっしゃいました。そんなとき、僕らは「ここでは、すべてが美しいんです。間違いや失敗はないんです。だから、そのままでいいんですよ」と、繰り返しお伝えしてきました。

今では、支援員のみなさんもボランティアの方々も、魔法を捕まえる達人です。そんな環境で行われる創作の現場は、発見と喜びにあふれています。

konstのデザインを購入してくださる方々、使ってくださる方々にも、同じように「美しさを受け取れるように、準備してね」というメッセージを、うまく伝えていけたらと思います。整いすぎない線や、紙ににじんだ色も、そのまま味わってみてください。きっと、konstの魔法を感じていただけるはずです。