Art dialog & Art workshop

須長 檀

浅間国際フォトフェスティバル」は、浅間山麓を舞台に2018年より始まった、世界に写真文化を発信する国際的な写真フェスティバルです。

この関連イベントとして、対話型美術鑑賞と創作ワークショップを組み合わせた企画が開催されました。

イベント前半の対話型美術鑑賞はprecogさんが担当し、後半の創作ワークショップはkonstが担当しました。

浅間国際フォトフェスティバル実行委員会の皆さんがprecogさんとkonstを結びつけてくださり、これまでにないアートとの関わり方、創作の方法を模索する機会をつくっていただきました。

参加者は、視覚障がいのあるファシリテーターの方々と、軽井沢町・御代田町の福祉施設に通われる方々です。各施設からは支援員の方々が福祉的なサポートをしてくださいました。さらに、アートと福祉の両面からprecogさん、ソニー・ミュージックソリューションズのクリエイティブチームが手がける「Creative Vision Project」の皆さん、軽井沢町の美術・デザイン関係者の方々にもご協力いただき、総勢50名を超えるイベントとなりました。

企画、運営、サポートなど多くの方々にご尽力いただき、美しく楽しい場が生まれたことに心より感謝申し上げます。

午前中は、precogさんの進行のもと「浅間国際フォトフェスティバル」の展示を鑑賞し、視覚障がいのあるファシリテーターの方々が参加者の言葉を導き出してくださいました。konstはそれらの言葉のすべてをライブで受信していたのですが、既成概念から解放された参加者の無垢な言葉に感動していました。アートに純粋に向き合い、心に溢れる言葉をそのまま表現することの大切さを改めて確認しました。

浅間国際フォトフェスティバルの展示を鑑賞しながら対話する参加者たち
会場の展示前でグループごとに言葉を交わす対話型鑑賞の様子

グループでの対話型鑑賞と昼食休憩のあとは、同じグループのメンバーで創作ワークショップを行いました。

会場全体で創作ワークショップが進む様子

対話型美術鑑賞で集めた言葉は、水性のシールに印刷して準備しました。参加者は気になる単語を切り抜き、自由に組み合わせていきます。アートを鑑賞して生まれた単語を、文法を気にせず、意味にとらわれず、絵を描くように、詩を作るように、できるだけ自由につないでいきます。

対話型鑑賞で集めた言葉のシールから気になる単語を選ぶ参加者

単語の繋がりができたら画面の上(木の板)に並べます。文章を単語に解体してバラバラにしてから、関係のない単語同士を繋げることで、新たなイメージが浮かんできます。そのイメージをもちながら、さらにフォトフェス会場の写真も自由な形に切って並べていきます。

このワークショップに失敗はありません。目指す完成例もありません。すべてを美しい創作として、自由に手を動かすことを心がけました。創作の過程で、想定とは全く異なる表現が生まれることを目指しました。

切り取って並べた言葉と会場写真のシールを水に浸し、画面に貼り付けていきます。

木の板に言葉と写真のシールを水で貼り付けていく様子

文字は木の板に写し取られて固定され、写真と一体化していきます。ときに文字や写真が歪んで、面白い効果が自然と生まれてきます。

さらに、文字と写真のコラージュに水彩絵の具を使ってイメージを混ぜ合わせていきます。

文字と写真のコラージュに水彩絵の具で色を重ねる様子

対話型鑑賞で紡がれた「アートを他者へ伝えるために整理された言葉」が、切り取られ、混ざり、無関係に組み合わされることで、他者の思考と溶け合い、意味が薄まっていきます。この混沌とした「わからない状態」こそが、アートと向き合う最良の状態なのではないかと思います。アートと向き合うこととは、作品を通して自己と他者と世界が繋がっている状態です。その状態が創作の時間を通して蘇り、その状態のまま他者と創作することが、アートとの対話をより深く豊かなものにしてくれます。

「わからないまま」でアートを他者と共有し、「わからないまま」手を動かして共同で創作することで、思いもよらない発見を得ることができました。

言葉と写真と水彩が混ざり合って生まれた作品